「糸巻き」に汚染された人間が浄化されていく様


by SONZUKA
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冷たいミルク

大学の頃、それこそ音楽で目覚め音楽で寝入る日々を続けていたときには「音楽への情熱」が完全にすり減ってしまったサークルOBとの生ぬるい会話を唾棄していた私だが、今の私はベースを抱えることも殆ど無くなってしまった。週末に少しつま弾く程度。お恥ずかしい、何のことはない、唾棄していた彼らになれ果ててしまったのだ。
かと思えば、路上で演奏するミュージシャン達を街を歩いたときに目にするとき。RockでもJazzでも構わない、思い思いの曲を演奏する彼らを見る度に何故か居たたまれない気分になりその場を足早に立ち去ってしまう。この屈折した気持ちってなんなんだろう。こんぷれっくす?

何か新しい生活を求めているのかも知れないな、と自己分析したりして。

というのは、最近の私のヘビロが渡辺美里の名盤「Flower bed」の「冷たいミルク」であるからだ。この曲は、かの「岡村ちゃん」こと岡村靖幸が作曲したのだが、私が惹かれているのは美里が書いた歌詞なのだ。

「Flower bed」と聞くと、音楽ファンは贅沢に使われたミュージシャンを思い出すだろう。私ももちろんその一人。本当はパイナップル ロマンス」を目当てに購入したのだ。Jeff Porcaroの三大8ビート曲(と私が勝手に評価している)この曲を聴くために。

ところが最近の私の心を捉えてはなさいのは「冷たいミルク」(まあVinnie Colaiutaがドラムなのだが)。私は詩とか文学的表現に疎いので、音楽においても詩に注目して聴いたことがなかった。歌詞カードをじっくり見て想いにふけるなんていう高尚な趣味を持ち合わせていないのだが、この曲の歌詞は何故か私の心を捉えてしまった。

何のことはない、日本(トーキョー?)に住む恋人と別れてニューヨークで働く男の話。
眠らない未知の街で人波にもまれて送る日常。心には「きみ」が付いて離れない。そんな情景を詩にしているのだが、その孤独感というか満たされ無さ感(?)を「背の高さほどの冷ぞう庫」から取り出して飲み干す「冷たいミルク」に託しているのだ。この感情を演奏・アレンジも実に見事に盛り上げる。少し深めに効かせたリバーブ。淡々とDのオンコードを鳴らすシンプルなベースライン。弱い日光が照らすゴミゴミした大都会・New Yorkの孤独を見事に表しているSax Solo。歌詞が「静」のときはハーフタイムで刻み「動」に移ればシンプルな8ビートを叩くリズムアレンジ。この曲の持つ情景を演奏が見事に表現している。心寂しい冬を迎えようとしている今の季節に何となく合うのだ。

歌詞と演奏についてあれこれ考えたことなど無いのだが、この曲だけは聞くたびに自然に作者達の想いがすぅっと理解できた。

作者達が優秀だからか、それとも私の現在の心理状態がそうさせるのか。いい歳して困ったものである。
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by SONZUKA | 2006-11-03 23:20 | 音楽と日々雑感